行政の完全デジタル化が叫ばれる中、希少姓の保持者たちが直面しているのが「異体字」と「システム不適合」の壁だ。経済産業省やデジタル庁が推奨する共通語彙基盤の導入が進むものの、長年地域で使われてきた手書き由来の旧字・異体字が、標準Webシステムで正しく認識されないトラブルが相次いでいる。
ある地方自治体の窓口担当者はこう明かす。「システム更新のたびに、外字フォントの移植作業が発生します。全国で数世帯しか使っていない漢字1文字のために数千万円規模のシステム修正が必要になるケースもあり、現場では保存と効率化の間で苦渋の決断を迫られています」。便利さを追求するデジタル社会が、皮肉にも歴史ある苗字の形を改変せざるを得ない状況を作り出しているのだ。