本作の世界的評価を決定づけた出来事のひとつが、巨匠マーティン・スコセッシ監督によるハリウッドリメイク作『ディパーテッド』の存在だ。アカデミー賞作品賞を受賞した同作だが、オリジナルの持つ独特の哀愁や静かな詩情とはまた異なる、血生臭く荒々しいアメリカン・ノワールへと昇華されていた。
ボストンを舞台にしたリメイク版も圧倒的な熱量を誇るが、アジア特有の無常観や運命の皮肉を静かに描いたオリジナル版を最高傑作と推す声は今も根強い。両作を比較鑑賞することで、物語の骨格が持つ普遍的な面白さと、文化による表現の違いがよりいっそう浮き彫りになる。