道具選びも仕上がりを左右する重要な要素だ。特に切れ味の整った出刃包丁は、硬い頭部や骨を無駄に潰すことなく、綺麗な切り口を作るために欠かせない。包丁を入れる角度は45度。エラ蓋のきわから刃先を滑り込ませることで、身を削ぎ落とさずに処理できる。
魚の捌き方において、姿煮の美しさを極める技法が「壺抜き」である。割り箸を口から二本差し込み、エラと内臓を挟み込んでぐるりと回転させて引き抜く。腹を切らずに内臓を取り出せるため、加熱しても形が崩れず、料亭のような格調高い一皿に仕上がる。伝統的な和食料理人が受け継いできた洗練された知恵だ。