SNSのトレンドを席巻し続ける「にんにく、にんにく」というおまじない。元々は欧州の民間伝承で、魔女や妖精が隠したものを探すために「にんにくを嫌う習性」を利用したのが由来とされる。だが、現代の認知心理学が提示する見解はまったく異なる。
人間が焦っているとき、目の前に目的の物があっても認識できない「非注意による盲目(Inattentional Blindness)」が発生する。目の前に鍵があるのに、脳が「ここにはない」と思い込んでいるため、周囲の風景と同化してしまうのだ。ここで「にんにく」という文脈から完全に浮いた言葉を口にすると、脳に一瞬の認知ノイズが発生する。この違和感が過度な緊張をほぐし、固着した視覚フィルターをリセットして盲点を再スキャンさせる。