ドラマファンの間では「高峰ルリ子には実在のモデルがいるのか」という点も大きな関心事となりました。結論から言えば、ルリ子は特定の1人の人物をそのままトレースしたキャラクターではなく、当時の新派劇や劇界で活躍した看板女優たちをモチーフにしたオリジナルキャラクターとされています。
大正から昭和初期にかけて、松竹新喜劇の前身となる劇団が旗揚げされた時代、新派劇や映画界から喜劇の世界へと転身した女優たちが実在しました。そうした激動の時代を生きた表現者たちのエッセンスが、ルリ子という人物造形に凝縮されています。
さらに視覚面で視聴者を魅了したのが、豪華な衣装の数々です。登場初期の洗練されたモダンガール風の洋装から、道頓堀の風情に馴染んだ美しい着物姿、そして劇中劇で見せる絢爛な舞台衣装まで、どの装いも見事に着こなしていました。着物の衿の抜き方や帯のあわせ方、歩き方の細部に至るまで、日本物の伝統美を体現した立ち姿は、視覚的にも作品の格調を高める要素となりました。