1994年、テレビアニメ『美少女戦士セーラームーンS』で彼女たちが登場した際のインパクトは、当時の子供たちだけでなく大人たちの価値観すら揺るがした。男装の麗人であり天才レーサーでもある天王はるかと、繊細なバイオリニストであり優雅な気品を纏う海王みちる。二人が醸し出す静謐で濃密な空気感は、それまでの女児向けアニメの枠組みを完全に超越していた。
特筆すべきは、彼女たちが登場した瞬間から「完成された世界観」を保持していた点だ。主人公の月野うさぎたちが等身大の日常や恋に悩む中、はるかとみちるはすでに冷徹な現実に直面し、二人だけの閉じられた円環の中で戦っていた。その浮世離れした美学が、視聴者に「憧れ」と「畏怖」を同時に抱かせたのだ。