水利用の現場で最も注視されるのが、胆沢川の流入量と放流量のバランスです。上流の焼石岳連峰から流れ込む河川水が流入量を形成し、下流の河川環境維持や農業・発電・水道のためにゲートやバルブから流される水が放流量となります。
日照りが続き流入量が放流量を下回る日が長引くと、ダムの貯水量は徐々に目減りします。このような局面において、北上川ダム統合管理事務所から発表される胆沢ダムの放流情報は、下流の利水関係者にとって極めて重要な指標です。特に5月の田植え期から夏場にかけての農繁期には、胆沢平野の約1万ヘクタールに及ぶ広大な水田へ安定して用水を届けるため、綿密な放流コントロールが実行されます。
渇水傾向が強まった場合でも、即座に取水停止となるわけではありません。まずは関係機関による連絡協議会が招集され、数段階の自主節水や農業用水の番水(交代配水)が段階的に実施される仕組みが確立されています。