兵庫県洲本市南東部にそびえる柏原山(かしわらやま)。標高569メートルの豊かな自然が育むこの山こそが、彼らの本来のホームグラウンドである。日中は山から下りて園内で思い思いの時間を過ごし、夕刻になると再び柏原山の深林へと帰っていく生活パターンが長年保たれている。
動物行動学の研究者が注目するのは、彼らが示す極めて高い「社会的寛容性」だ。他の地域のニホンザルでは、他個体との接触を避けるための厳格な身体的距離(ディスタンス)が存在するが、ここでは見知らぬ人間が目と鼻の先に立っていても、サルたちは全く警戒することなく毛づくろいを続けたり、気持ちよさそうに居眠りを決め込んだりする。この独特の文化がどのように醸成されたのか、研究者の間でも議論が続いている。