バリー・ボンズ薬物疑惑の真相と現在|なぜ殿堂入りを拒まれるのか

バリー・ボンズ薬物疑惑の真相と現在|なぜ殿堂入りを拒まれるのか

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疑惑が決定的なスキャンダルへと転じたのは、2003年に発覚した「バルコ(BALCO)事件」でした。カリフォルニア州の栄養補助食品会社「ベイエリア・ラボラトリー・コオペラティブ」が、従来のドーピング検査では検出不可能な新型のデザイナーステロイドを開発し、トップアスリートたちに組織的に供給していた事実が連邦捜査局(FBI)の強制捜査により白日の下に晒されたのです。

この捜査の過程で中心人物として浮上したのが、グレッグ・アンダーソン トレーナーでした。ボンズの少年時代からの親友であり専属筋力コーチを務めていたアンダーソンは、バルコ社の創業者ビクター・コンテからステロイドを調達し、ボンズを含む選手たちに届けるパイプ役を担っていたとされています。この組織的ネットワークから供給されていた薬物こそが、当時「クリア(THG)」および「クリーム」と呼ばれた未承認ステロイドでした。

連邦大陪審での証言において、ボンズはアンダーソンから提供された物質を使用した事実は認めつつも、「関節炎の治療用クリームや亜麻仁油のサプリメントだと信じ込まされていた」と主張し、ステロイドと知りながら故意に摂取したことは頑なに否定しました。一方のアンダーソンは、ボンズを法的に追い詰める証言を一切拒絶し、法廷侮辱罪で複数回にわたり収監される道を選びました。トレーナーの絶対的な沈黙によって、薬物使用の背後にある直接的な指示系統の完全な解明は阻まれることとなりました。

橋本 菜々子
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橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。