この色彩が帯びる感情のリアリティを、同時代を生きる若者たちの胸に突き刺したのが、山口つばさによる大ヒット漫画『ブルーピリオド』だ。主人公の矢口八虎が早朝の静まり返った渋谷の交差点を眺め、「世界が青く見えた」瞬間の描写。それは、言葉にできない焦燥と表現への渇望が色彩となって可視化された決定打だった。
アニメーション化された際も、その青の再現には並々ならぬこだわりが注がれた。空虚でありながらどこか神聖で、冷たさの奥に剥き出しの情熱が滾る色彩表現。作品が提示した生々しい青は、自己表現に苦悩する世界中のZ世代の琴線を震わせ、カルチャーシーン全体に群青の波を再燃させる引き金となった。