2010年代以降、このキャラクターはさらなる劇的なメタモルフォーゼを遂げる。決定打となったのが、ドリームワークス・アニメーションが手がけた映画『長ぐつをはいたネコ』だ。
スクリーンに現れたのは、ただの滑稽なマスコットではない。主人公の義兄弟であり、孤児院で育った劣等感に苦しみ、友情と裏切りの狭間で激しく葛藤するアンチヒーロー。脆い殻の内側に秘めた復讐心と、最後に選んだ自己犠牲のドラマは、観客の情緒を激しく揺さぶった。
記号的な童話の怪物を、人間以上に多面的な心理を持つキャラクターへと昇華させた手腕は、アニメーション産業全体における古典再解釈の潮流を決定づけたといえる。単なるパロディの枠組みを越え、傷つきやすいエゴの化身として描き直されたのだ。