火野さんを語るうえで避けて通れないのが、「昭和の稀代のプレイボーイ」「モテ男」としての数々の逸話です。1970年代から80年代にかけて、トップ女優や女性タレントとの熱愛報道が幾度となくワイドショーを賑わせました。
しかし、火野さんが特異だったのは、「関係を持った女性から誰一人として悪口を言われない」という点でした。女性に対して決して嘘をつかず、誠心誠意向き合い、別れた後も相手の幸せを心から願う姿勢を崩さなかったからです。女性を掌の上で転がすのではなく、常に自分が下手に出て愛を注ぐ姿勢が、多くの女性を惹きつけました。
この天性の人たらしとも言える魅力は、そのまま役者としての深みにつながっていました。人間の弱さやずるさ、愛おしさを誰よりも知っていたからこそ、画面の中で放つ独特の哀愁と色気は他の誰にも真似できないものだったのです。