アウトロー集団とはいえ、伝統的な暴力団組織は極めて厳格な上下関係と縦社会の掟で統制されています。そのため、組織内における身だしなみには暗黙の厳罰ルールが敷かれていました。
まず、組織の看板を背負う以上、「だらしない長髪」や「手入れのされていない無精髭」はご法度とされてきました。若い衆(部屋住みや組事務所の当番)に対しては、親分や兄貴分に対する礼儀として、常に清潔感と緊張感のある短髪が義務付けられます。茶髪や金髪などの派手なカラーリングも、半グレ集団とは異なり、伝統的な指定暴力団の直参・二次団体では「組織の品格を落とす」として禁止されるケースが一般的でした。
階層ごとの髪型グラデーションも顕著でした。
- 下部構成員・若手:気合を示すための角刈り、気迫あふれるベリーショート、粗相があった際の坊主頭。
- 中堅・行動隊長クラス:威圧感と貫禄を兼ね備えたアイパー、パンチパーマ、バックスタイル。
- 直参・最高幹部クラス:落ち着きと威厳を漂わせる白髪交じりのオールバック、整えられたクラシックスタイル。
このように、頭髪のセット一つをとっても、自身が組織のどの位置におり、どのような役割を果たしているかを周囲に示す名刺代わりの規律となっていたのです。