かつて芸能人のYouTubeチャンネルといえば、TV番組の延長線上にある豪華な企画や、プロの手による洗練された映像美が売りの主流だった。しかし、その潮目を大きく変えたのが辻希美のスタイルだ。彼女がカメラに向けたのは、美しく装飾された世界ではなく、家事と育児に追われる泥臭い現実そのものだった。
ノーメイクに近い素顔で巨大な鍋を振り、子供たちの喧嘩をなだめながら並行して料理を仕上げる。視聴者が目にするのは、自分たちの日常と何ら変わらない「戦場」だ。完璧なライフスタイルを演じるインフルエンサーが増えすぎた結果、人々は疲弊した。その反動として、生活のほころびを隠さない彼女の潔さが、熱狂的な親近感へと昇華したのである。