館山の食文化を支える柱、それは黒潮の恵みを受ける水産業の力強さだ。房総半島沖は、寒流と暖流が交錯する日本屈指の好漁場。館山港や船形漁港には、伊勢海老やアワビ、サザエをはじめ、金目鯛やアジ、旬の地魚が毎朝水揚げされる。
近年では、この圧倒的に新鮮な素材を活かしたモダンガストロノミーの台頭が目覚ましい。古民家をスタイリッシュに改装したオーベルジュや、地元の魚介と無農薬野菜を贅沢に使うイタリアンレストランが次々とオープン。東京の一流レストランで腕を磨いたシェフたちが、食材の宝庫である館山に拠点を移し始めているのだ。早朝に港で買い付けたばかりの魚が、その日の昼には芸術的な一皿へと姿を変える。鮮度と技術が生み出す驚きは、美食を目的に訪れるフーディたちを唸らせてやまない。