「猪肉は臭い、硬いという先入観があるなら、それは本物を食べたことがない証拠だ」と、丹波の山を50年以上歩き続ける猟師は笑います。野生肉を極上のジビエ料理へと変える決定打は、猪が何を食べて育ったか、そして捕獲後の数分間に施される処理の技術にかかっています。
極上とされる猪肉を見分けるポイントは明確です。第一に、丹波の秋の恵みであるドングリや栗、落穂をたっぷりと食べ、晩秋から真冬にかけて皮下に分厚い脂肪を蓄えた雌猪であること。第二に、肉の色がくすみのない鮮やかな赤紫色をしており、脂身(白身)が純白で硬く締まっていることです。質の悪い肉は脂が黄色みがかって柔らかく、熱を通すと嫌な獣臭を放ちますが、最上級の猪肉は加熱するほどに甘いナッツのような芳香を漂わせます。
一般社団法人日本ジビエ振興協会が定める衛生管理基準や解体処理のガイドラインが全国に普及したことで、肉の品質管理は近年劇的な進化を遂げました。仕留めた直後の迅速な血抜きと冷水による急冷、徹底した温度管理下での熟成解体。猟師と熟練の解体職人が連携する丹波篠山だからこそ、一切のドリップや雑味のない奇跡的な肉質が保たれているのです。