日本のエクステ文化は、時代とともにその役割を大きく変えてきた。2000年代初頭、モデルの益若つばさがアイコンとなったギャルカルチャー全盛期には、編み込みで作るボリューミーで重厚なロングヘアが若者の憧れを一身に集めた。当時のヘアエクステンションは「目立たせること」「大胆に変身すること」そのものが目的だった。
しかし現代において求められているのは、徹底的なナチュラルさと引き算の美学だ。表参道や銀座を牽引するトップサロンAFLOATの代表・宮村浩気が打ち出すような、顔まわりのレイヤーと柔らかい毛流れを融合させた繊細なスタイルが今のデファクトスタンダードとなっている。地毛のカットラインを活かしつつ、計算された毛束を配置して「もともと髪が豊かな人」に見せる技術が美容室・ヘアサロン業界全体で急速に成熟した。
派手さを競う時代は終わり、地毛のニュアンスにどこまで同化させられるかという職人技の領域へシフトしている。100本という単位も、単に長さを伸ばすためだけでなく、顔まわりのレイヤー構築や後頭部のシルエット補正のために戦略的に使われるケースが増えている。