小沢かなによる原作コミック『ブルーモーメント』と、実写ドラマ版の間には、メディアの特性を活かした決定的な相違点が存在する。原作が気象学の知見と人間ドラマを静謐かつ丁寧に紡ぐスタイルであるのに対し、テレビドラマ版は一話完結型のスリルを強化しつつ、主人公が抱える過去の悲劇というサスペンス要素を色濃く押し出した。
特にヒロインである雲田彩(出口夏希)のキャラクター設計には、ドラマならではの躍動感が加えられている。原作の持つ繊細な観察眼を損なうことなく、現場で悩み、挫折しながら成長していく等身大の姿を出口夏希が瑞々しく演じ切った。原作ファンにとっても、ドラマで初めて作品を知った層にとっても、双方が独立した名作として深く楽しめる仕掛けが見事に功を奏している。