小林カツ代は1937年、大阪・船場の菓子製造問屋の家に生まれました。豊かな食文化が根付く町家で育ち、幼少期から「本当においしいもの」を舌で覚えた経験が、のちの型破りな料理人生の確固たるベースとなります。帝塚山学院短期大学を卒業後、結婚を経て専業主婦となった彼女は、日々の暮らしのなかで「どうすれば手早く、家族が心から喜ぶご飯を作れるか」を徹底的に追求し始めました。
転機が訪れたのは、テレビのワイドショーへの投稿でした。主婦としてのリアルな視点と持ち前の歯切れのよい語り口が番組プロデューサーの目に留まり、メディアの世界へと進出。NHKの長寿番組『きょうの料理』をはじめとする料理番組や雑誌の連載に次々と起用され、瞬く間に全国区の人気を獲得します。従来の「花嫁修業的でお行儀の良い料理」ではなく、「忙しい主婦がパパッと作れて最高にうまい実践的な家庭料理」を提案した彼女のアプローチは、日本の食卓に一大革命を起こしました。