メキシコ西部から南部にかけて広がる乾燥熱帯林や海岸沿いの岩場。そこがクシトゲオイグアナ(Ctenosaura pectinata)の本来の故郷だ。トゲオイグアナ属(Ctenosaura)の中でも屈指の体躯を誇り、成体では全長1メートルを超える個体も珍しくない。彼らは樹上と地表の双方を巧みに使い分け、天敵から逃れるために岩の隙間へと滑り込む。
かつてデイビッド・アッテンボロー卿が案内役を務めた伝説的な自然環境ドキュメンタリーや、BBC Earthの傑作『プラネットアース』シリーズで描かれた過酷なイグアナたちのサバイバル。あの圧倒的な生命の躍動は、決してフィクションではない。メキシコの過酷な日差し、乾季の厳しい飢え、そして天敵の猛禽類。これらを潜り抜けて生き残った個体だけが、あの威厳に満ちた漆黒の鱗をまとうのだ。