カチューシャの復権を語る上で、ポップカルチャーとモードの共鳴は無視できない。2000年代後半、ドラマ『ゴシップガール』のブレア・ウォルドーフが披露したプレッピースタイルは、お嬢様ルックの象徴として世界中の少女たちを魅了した。それから十数年、Netflixの人気ドラマ『エミリー、パリへ行く』で主人公が見せるモダンなフレンチシックな装いや、プラダがコレクションで打ち出したボリューム感あるパデッド(厚みのある)カチューシャが、このアイテムを最先端のハイファッションへと押し戻した。
かつてのクラシックな記号は、現代のデザイナーたちの手によって再解釈されている。フェミニンなワンピースに合わせるのではなく、あえてオーバーサイズのテーラードジャケットや無機質なレザージャケットと衝突させる。この甘辛な違和感こそが、現代のスタイリングにおける最大の醍醐味といえる。