鶯谷という土地の面白さは、館内を行き交う人々の多様なグラデーションに象徴される。何十年もこの地に住み、毎日の日課としてお湯に浸かる地元のお年寄り。そのすぐ隣で、日本の文化体験として銭湯を訪れた外国人観光客が、照れくさそうに身体を洗っている。
言葉の壁があっても問題はない。湯船の心地よさに満面の笑みを浮かべ、互いに軽く会釈を交わす。わかりやすいピクトグラムや多言語案内が徹底されているため、誰もが迷うことなく日本の銭湯マナーを実践できる。排性的にならず、かといって観光地化しすぎてローカルの良さを失うこともない。多様な人々が同じお湯を共有し、心地よい距離感を保つコミュニティのあり方がここにはある。