「夜中の2時まで酔っ払いの話し声が響き、朝起きると家の敷地内に空き缶が転がっている。ここはテーマパークではない」
谷中エリアの細路地に50年住む70代の女性は落胆を隠さない。かつて静かな住宅街だった場所にも、SNSを通じてバズった隠れ家ショップを目当てに連日多くの人々が押し寄せる。プライバシーの境界線があいまいな狭小空間ゆえのトラブルが各地で急増しているのだ。
住宅と店舗が隙間なく隣り合う空間では、微小な音や光すら住人の日常生活を直接脅かす。一部の地域では、夜間撮影の規制や、私道への立ち入り禁止を明記した看板の設置、私設の警備員による見回りなど、観光客に対する自衛手段を強める動きも目立ち始めた。魅惑的なアンダーグラウンドの空間は、常に住民の忍耐という薄氷のうえに成り立っている。