同一の年式・走行距離でありながら、修復歴車が店頭価格で20万〜60万円も安く売られていることには、市場の力学に基づいた合理的な背景があります。修復歴車が安い理由の根本は、消費者心理としての「不安感による需要激減」と「業者オークションでの落札相場の低さ」にあります。
オートオークションにおいて、修復歴のある車両は「R点(修復歴車)」または「RA点(軽微な修復歴車)」として厳格に区分されます。一般の中古車販売店はクレームや返品リスクを避けるため、R点の仕入れを敬遠する傾向があります。結果として買い手が限られ、競り価格が通常車両より20%〜40%近く暴落します。仕入れ値が圧倒的に安いからこそ、販売店も利益を確保した上で破格の値付けができる構造です。
安さの裏にある最大の罠が、将来の修復歴あり下取り売却相場の冷酷な現実です。購入時に相場より30万円安く買えたとしても、数年後に手放す際の下取り査定額は、無事故車と比べて半値以下、車種によっては「廃車手数料がかかる」「実質0円」と言い渡される事例が珍しくありません。最初から最後まで乗り潰す覚悟がない限り、トータルの収支で得をするとは限らないのが実態です。