医学的な見地から最も警戒すべきなのが、受精卵が着床し重要器官が形成される妊娠初期である。この時期における母体の急激な体温上昇、特に骨盤腔内の過度な加熱は、極めて重大なリスクを孕む。産婦人科専門医は「妊娠初期における40度を超えるような長時間の局所加熱は、胎児の神経管閉鎖障害などの奇形発生リスクを高める可能性がある」と指摘する。高熱が胚の細胞分裂を阻害するメカニズムは、実験医学においても周知の事実だ。
さらに見過ごせないのが、子宮収縮による流産のリスクだ。よもぎに含まれる精油成分「ツヨン(Thujone)」には、強い通経作用(月経を促す作用)や子宮刺激作用が認められている。通常時であれば経血排出を促す効果として肯定的に捉えられるが、妊娠初期の繊細な子宮環境においては、これが早期の陣痛様収縮を引き起こす引き金となり得る。微量な出血を「好転反応」と偽って放置させた悪質なサロンの事例も報告されており、極めて危険な状況と言わざるを得ない。