鳥類の音声コミュニケーションは、生物音響学や動物行動学の分野において長年熱い議論の対象となってきた。近代動物行動学の祖であるコンラート・ローレンツは、鳥類の生得的行動パターンとその刷り込み現象を詳細に記録し、発声が単なる反射ではなく群れの結束を維持する高度な社会的機能であることを示した。
また、鳥類認知科学者アイリーン・ペパーバーグによるヨウム研究の金字塔は、インコ・オウム類が単に人間の言葉をオウム返しにするだけでなく、音の差異や文脈を認識して使い分けている可能性を実証した。セキセイインコにおいても同様の知性が宿っており、オスの求愛歌(ウォーブル)がメスの好みに応じて即興で微調整される様子は、進化の驚くべき賜物である。
BBCの自然ドキュメンタリー『The Life of Birds』では、過酷な乾燥地帯を数千羽の群れで生き抜く野生セキセイインコの驚異的な発声同調が映像美とともに克明に描かれた。また、NHKの自然番組『ダーウィンが来た!』のアーカイブやNHKオンデマンドの特集番組でも、彼らが群れの中で個別の「コール(呼び交わし)」を使い分け、特定の個体を識別している生態が紹介されている。今日ではYouTube上でも世界中の研究者や愛好家がフィールド音源を共有しており、家庭で暮らすインコが発する声のルーツが過酷な自然界にあることを再確認できる。