ゴーヤ特有の突き抜けるような苦味の主犯は、ウリ科植物に含まれるサポニンの一種「モモルデシン」だ。胃腸を刺激して食欲を増進させる優れた薬効を持つ一方で、舌の受容体を強烈に刺激する。
長年、家庭内では「白いワタをスプーンで徹底的にこそぎ落とす」ことが苦味抜きの鉄則と信じられてきた。しかし、JA全農おきなわなどが発信する知見や近年の官能評価によれば、実はワタ自体の苦味は果肉部分と比べてそれほど強くない。問題はスポンジ状の食感と、果肉側に密集するモモルデシンの濃度にある。
苦味を劇的に和らげる鍵は「浸透圧」と「油溶性・水溶性の性質」の活用だ。薄さ1ミリ前後に均一スライスしたゴーヤに、塩だけでなく少量の砂糖を同時に揉み込む。砂糖の保水効果が果肉の水分を抱え込みつつ、浸透圧の差でモモルデシンを含む余分な水分を素早く外へと押し出す。10分ほど置いた後、水でサッと洗って水気をギュッと絞る。これだけで、独特のエグみは驚くほどまろやかになる。