出門英の真骨頂は、ボーカリストとしての表現力にとどまらず、優れた作曲家としてのメロディセンスにありました。単に歌謡曲の枠に収まらない、洋楽のエッセンスを散りばめたコード進行や哀愁を帯びたメロディラインは、専門家の間でも極めて高く評価されています。
代表的な提供曲として名高いのが、森昌子に提供した『涙の桟橋』(1977年)です。港町を舞台にした切ない女心をドラマティックに描き出したこの楽曲は、演歌・歌謡曲史に残る大名曲となり、数々の歌手によって歌い継がれるスタンダードナンバーとなりました。
また、自身が手がけた数々のデュエットソングにおいても、男女の声質が最も美しく響き合う音域とリズムを緻密に計算して構築されていました。彼が紡ぎ出したメロディは、令和の現代においてもシティポップや和モノグルーヴの再評価の波に乗り、国内外の若いリスナーから熱い再評価を受けています。