業務改善コンサルティングを手がけるITベンダーの調査報告によると、社内ヘルプデスクに寄せられる表計算ソフトのトラブル相談のうち、およそ42.8%が表示書式や自動着色に関する不具合に集中しています。とりわけ「複数条件を設定したのに一部しか色が変わらない」という悲鳴の背景には、明確な2大要因が存在します。
第一の壁となるのが、ルールの優先順位です。Excelや各種スプレッドシートのエンジンは、設定された複数のルールを「上から順」に評価します。上のルールで条件が合致し、かつ「条件を満たしたら停止(Stop if True)」にチェックが入っている場合、それより下に配置されたルールは一切評価されません。逆に、書式が上書きされて下の色が残ってしまうケースもあり、意図した見た目にならない現象の半数以上がこの階層関係の不一致に起因します。
この問題を解消するためには、リボンの「条件付き書式」からルールの管理画面を開き、適用したい判定基準がどの順番で並んでいるかを点検しなければなりません。数値の閾値判定(例:90点以上、70点以上、50点以上など)を行う際は、条件の厳しいもの、あるいは特別な警告色を最上位に配置し、優先度を正しく制御することが鉄則です。
そして第二の壁が、数式の組み方における参照の誤りです。個別のセルを見るのか、行全体を対象にするのかによって、セル番地に付与する「$(絶対参照記号)」の位置が決定的に異なります。この参照設計が狂っていると、条件判定の対象セルが右や下へ勝手にスライドしてしまい、「データが存在しない隣の列の数値を判定して着色される」といった不可解なバグを生み出すことになります。