昭和の熱き血潮を体現した男が、世紀末のテレビドラマ界に新たな旋風を巻き起こす。その契機となったのが、演出家・堤幸彦との出会いである。TBSテレビで放送された『ケイゾク』、そしてその系譜を継ぐ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』において、竜は野々村光太郎係長を演じ、従来のイメージを鮮やかに覆した。
雅ちゃんとのコミカルなやり取りや、柿ピーを頬張るユーモラスな姿。だが、物語の核心に迫る瞬間、その瞳に宿る凄みと哀愁が画面を支配する。奇怪な特殊能力(SPEC)を持つ犯罪者たちと対峙する荒唐無稽な世界観の中で、作品を現実の地平に繋ぎ止めていたのは、紛れもなく竜の持つ圧倒的なリアリティだった。「心臓を右に動かせ」という名フレーズとともに繰り広げられた壮絶な名演は、今なお多くの視聴者の胸に刻まれている。