法廷や法律機関のシンボルとして世界中で親しまれている女神像。しかし、その起源には二つの異なる神話が存在する。ギリシャ神話の掟の神テミス(Themis)と、ローマ神話の正義の女神ユスティティア(Justitia)だ。テミスが社会の秩序や慣習を司るのに対し、ユスティティアは右手に不正を断つ剣、左手に罪と罰を測る天秤を携え、先入観を排すために目隠しをしている。
ドラマ『法の女神』において、この「目隠し」の意味は極めて不穏なメタファーとして描かれる。公平無私を貫くための目隠しが、いつしか目の前で起きている不正から目を背ける免罪符へとすり替わっていないか。天秤に乗せられているのは証拠なのか、それとも権力者の都合なのか。神聖なる象徴の裏に潜む人間の欺瞞が、物語の根底を貫くダークな通底音となっている。