組合健保がもたらす恩恵は手取り給与や医療費の枠にとどまりません。大手電機メーカーや金融機関の組合健保では、契約保養所が格安で利用できる宿泊補助や、スポーツジムの月額利用料割引、家庭用常備薬の無料・破格斡旋など、充実したウェルネス支援が組み込まれています。健康保険組合の保険料率は3%から13%の範囲で決められますが、会社側が「従業員の健康投資」として保険料の6割以上を肩代わりしているケースでは、従業員本人の天引き額は協会けんぽに比べて数千円から1万円以上安くなることも珍しくありません。
しかし、忘れてはならないのがデメリットと制約です。組合健保の現場で加入者が真っ先に直面する壁が、被扶養者の認定基準の厳格さです。
公的医療保険における被扶養者の要件は、原則として「年間収入130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)」かつ「被保険者の年収の半分未満」です。ところが、組合健保では財政健全化と不正受給防止のため、協会けんぽよりもはるかに細密な独自の内規を敷いているケースが多々あります。
自営業やフリーランスをしている家族を扶養に入れる際、協会けんぽであれば「総収入から直接的必要経費を引いた所得」で判断されるのに対し、多くの組合健保では「売上から原材料費等の直接経費のみを認可し、減価償却費や通信費などは一切認めない(総収入に近い額で判定する)」という運用をとります。また、別居している親を扶養に入れる場合でも、毎月決まった金額(例:月5万円以上)を金融機関の振込明細で証明し続けなければ即座に扶養から外されるなど、厳正な審査が行われます。「協会けんぽなら扶養に入れたのに、配偶者の転職先の組合健保では落とされた」というトラブルは労務現場の日常茶飯事です。