本作の核心にあるのは、他人の夢を共有・治療するテクノロジー「DCミニ」の存在だ。天才科学者・時田が開発したこの小型装置は、医療の可能性を開く一方で、悪用されれば他人の精神を根底から破壊する悪夢の兵器と化す。
研究者としての固い理性を持つ千葉敦子と、夢の中で躍動するパプリカ。二つのアイデンティティは、現代人が抱える「表の顔」と「抑圧された無意識」の対比そのものだ。DCミニの流出によって社会全体が無意識の暴走に飲み込まれていく描写は、情報過多な現代社会における自我の崩壊を見事に予言していたとも言えるだろう。