連載開始から長い年月が経過した2026年の現在においても、島袋戦に対する評価は高まり続けている。近年のスポーツ解剖学や現代格闘技の理論に照らし合わせても、島袋岩男が展開したインサイド制圧理論は極めて合理的だ。
『はじめの一歩』という作品は、単なるフィクションを超えた「現実のボクシングの厳しさ」を常に描き続けてきた。その中でも島袋戦は、精神論だけで勝てるわけではないプロの厳しさと、肉体の限界を超えた先にある人間の底力を緻密な構成で描写している。漫画出版業界の歴史を見渡しても、これほどまでに「酸素」や「呼吸」という目に見えない要素を戦術として昇華させたエピソードは極めて珍しい。