現場となったJR博多駅周辺は、平日・休日を問わず数十万人の足が行き交う九州随一のメガステーションだ。オフィスビルや大型商業施設が林立する博多口・筑紫口の回廊は、事件発生と同時に黄色い規制テープで完全に封鎖された。
「急に叫び声が聞こえて、振り返ると人が倒れていた。何が起きたのか理解するのに数秒かかった」。近くのカフェにいた30代の会社員男性は、青ざめた表情で当時の状況を語った。怒号、逃げ惑う群衆、そしてアスファルトに散乱した荷物。防犯ブザーとパトカーの警告音が重なり合い、駅前の賑わいは一瞬で緊迫のクライムリポートの現場へと変貌した。
周辺店舗のスタッフは即座に来客を店内奥へと誘導し、シャッターを下ろすなど緊迫した対応に追われた。日常の真ん中に突如現れた非日常の暴力に、通行人たちは息を呑み、固唾をのんで事態の推移を見守るしかなかった。