長らくタブー視されてきたバレエ界の経済的事情に風穴を開けたのが、谷桃子バレエ団のドキュメンタリー戦略です。
同団は公式YouTubeチャンネルで、ダンサーたちの給与明細、アルバイト生活、過酷な昇格オーディション、さらには団の赤字経営の実態まで赤裸々に公開しました。「プロでありながらバイト漬けの毎日」「怪我と隣り合わせの生活」という生々しい現実は大きな反響を呼び、瞬く間に登録者数数十万人規模のチャンネルへと成長しました。
その結果、これまでバレエに触れてこなかった新規層が劇場へ大挙して押し寄せ、本公演のチケットが即日完売する事態へと発展。ダンサーの個人名や背景を知った上で応援する「推し活」カルチャーが定着し、公演収益の増加がダンサーへの報酬アップにつながるという好循環を生み出しました。この成功は、他団の広報戦略や情報開示姿勢にも大きな地殻変動を起こしています。