ドラッグストアの店頭やECサイトの点鼻薬おすすめ人気ランキングを開くと、数分で鼻が通ると謳うスプレー剤が常に上位を独占しています。シュッとひと吹きした瞬間に視界が開けるような爽快感が得られるため、手放せなくなる愛用者が多いのも頷けます。しかし、耳鼻咽喉科の医師たちが声を揃えて警鐘を鳴らすのが、血管収縮薬リバウンドの真相です。
人気スプレーの多くに配合されている「ナファゾリン塩酸塩」や「硝酸テトラヒドロゾリン」は、粘膜の血管平滑筋を急激に収縮させて鬱血を無理やり解除します。効き目は確かですが、その作用時間は数時間しか続きません。薬効が切れると、反動で血管が以前よりも激しく拡張し、以前以上の息苦しさが襲ってきます。この不快感から逃れるために1日に何度もスプレーを噴霧するようになると、血管の受容体が疲弊して反応しなくなり、粘膜組織自体が繊維化して不可逆的に分厚くなる「薬剤性鼻炎」へと進行します。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の診療ガイドラインや各種臨床データでも、血管収縮性点鼻薬の連続使用は原則として1週間から10日以内に留めるべきと明記されています。数ヶ月にわたって毎日使い続けている場合、本来のアレルギー症状ではなく、薬そのものが鼻詰まりを作り出している可能性が極めて高いといえます。リバウンドから脱却するには、薬を完全に断ち切った上で、耳鼻科で局所ステロイド点鼻薬や内服薬に切り替える治療が必要になります。