イラストレーターを志す者にとっての「聖地」として君臨してきたパレットクラブスクールですが、近年、通学制の年間レギュラーコースはその長い歴史に一区切りをつけました。検索窓に並ぶ「閉校」という不穏なキーワードに驚く人も少なくありませんが、その背景には複合的な時代の構造変化と創設メンバーの世代交代が存在します。
最大の転換点となったのは、スクールの精神的支柱であった巨匠たちの相次ぐ旅立ちです。創設者である安西水丸氏(2014年逝去)や原田治氏(2016年逝去)亡き後も熱心な運営が続けられてきましたが、2026年代初頭のパンデミックによる対面授業の制限、デジタル作画やオンラインスクールの台頭など、イラストを取り巻く学習環境は激変しました。
「生のアートディレクターや編集者に直接原画を見せ、その場で講評を受ける」という対面指導のリアリティに何よりも価値を置いていたからこそ、オンライン化への安易な全面移行ではなく、通学制スクールとしての役割を全うした上で幕を引くという美学ある決断が下されました。現在、築地の建物は限定的なワークショップや展覧会、文化発信のスペースとして活用されており、完全に消滅したわけではなく、そのスピリットは形を変えて保持されています。