ペニーワイズという世紀の恐怖アイコンに命を吹き込んだのは、名優ビル・スカルスガルドだ。彼の怪演なくして、この作品の成功はあり得なかった。
驚くべきことに、左右の瞳を別々に動かす不気味な視線移動や、口元を歪ませて狂気に満ちた笑みを浮かべる表情の多くは、CGではなく彼の肉体演技によるものだ。撮影現場では子役たちが本気で恐怖し、涙を流したという逸話も残っている。
そして、その怪演を完璧な映像美に仕立て上げたのがアンディ・ムスキエティ監督の腕冴え渡る演出だ。静寂と爆音のメリハリ、あえて白昼の明るい太陽の下で恐怖を描く意外性。明暗のコントラストを計算し尽くしたカメラワークが、観客の無意識に恐怖の種を植え付けていく。