制度の狭間で苦しむ当事者の声は、SNSや労働相談の窓口に日々蓄積されています。取材班が接触したIT系企業勤務の30代女性は、キャリアアップを目指して転職したわずか3か月後に妊娠が判明した際の実情を次のように吐露しました。
「面談の席で上司に妊娠を伝えた瞬間、室内の空気が凍りつきました。『おめでとう』の言葉の直後に人事から手渡されたのは労使協定のコピーで、そこには【勤続1年未満の者は育児休業の対象から除外する】という一文が冷徹に記されていたのです。法律が変わったと聞いていたのに、結局は会社の取り決めで排除されるのかと、出口のない絶望感を味わいました」
このような事例は女性だけの問題ではありません。近年推進されている男性育休 勤続1年未満のケースでも同様の障壁が立ちはだかります。第二子の誕生に合わせて入社7か月目で「産後パパ育休(出生時育児休業)」を申請しようとした20代男性は、総務担当者から「うちの労使協定では1年未満の男性社員の取得は認めていない」と告げられ、有給休暇を数日消化するだけで復帰せざるを得なかったと証言します。
ネット上の掲示板やSNSでは「育休 勤続1年未満 断られた」という投稿が散見されますが、その実情を分析すると、法違反による不当拒否というよりも、企業側が長年更新し続けてきた労使協定を杓子定規に適用した結果である例が目立ちます。制度が整備された現代社会においても、現場の労務管理と働く個人の生活実態との間には根深い摩擦が横たわっています。