各地の保全現場や大学の研究チームからは、モグラの生息実態を正確に把握すること自体の難しさが指摘されています。地上を動き回る動物と異なり、センサーカメラや目視観測による個体数把握が難しく、トンネルの痕跡(モグラ塚)や環境DNA解析に頼らざるを得ないのが現状です。
新潟県などのエチゴモグラ保護地域では、農業関係者と保全団体の対話が進められています。従来のコンクリート一辺倒の水路改修を見直し、モグラやカエルが脱出・移動可能なスロープ付き水路の導入や、畦(あぜ)の幅を広めに残す伝統的工法の再評価など、農業生産性と生態系維持を両立させる試みが模索されています。
【プロの結論】土壌生態系の頂点捕食者から見出すべき共生の教訓
地中のモグラは、豊かな土壌生態系における「キーストーン種(中核となる存在)」です。彼らが活発にトンネルを掘ることで土壌に通気性と透水性がもたらされ、多種多様な微生物や植物が育まれます。
私たちが普段目にすることのない地下世界で進む固有種の危機は、土壌環境そのものが疲弊している危険信号に他なりません。単なる「害獣駆除」の視点から脱却し、土壌の健康度を測るバロメーターとしてモグラを捉え直すことが、持続可能な国土保全への第一歩となります。