かつて沖縄の高校受験といえば「是が非でも県立進学校、私立は経済的負担が重いすべり止め」という固定観念が支配的でした。しかし、この数年でその常識は完全に瓦解しました。国の「高等学校等就学支援金」の拡充に加え、沖縄県独自の私立高校授業料減免制度が段階的に手厚くなったことで、年収制限の範囲内であれば実質授業料が大幅に軽減されるようになったためです。
この経済的ハードルの低下を背景に、沖縄尚学高校や興南高校は「特待生制度」を強力なテコとして活用し、県内トップ層の囲い込みを加速させています。沖縄尚学の「尚学パイオニアコース」や特待生枠では、学業成績や模試結果に応じて入学金・施設設備費・授業料の全額免除や半額免除が提示されます。公立高校に進学して高額な予備校費用を払うのと比較し、「手厚い進学指導と夜間指導までパッケージ化された私立の特待生」のコストパフォーマンスを評価する家庭が急増しているのです。
特に昭和薬科大学附属高校が高校からの募集を停止し完全中高一貫体制を固めて以降、高校受験から難関国公立大学や医学部を目指す層にとって、開邦高校と沖縄尚学高校の特待生枠は事実上の二者択一となっています。「公立に落ちたから私立へ行く」のではなく、「最初から沖尚の特待生基準をクリアし、専願で進学を決める」という選択が、那覇市や浦添市の中学生の間で完全に定着しました。