運転免許の学科試験で多くの受験者が頭を抱え、ベテランドライバーですら曖昧に理解しているのが本線車道と車道の違いです。日常会話では道路全体を「車道」と呼び、その中央付近を何気なく「本線」と呼ぶ傾向がありますが、法律上の位置づけは明確に峻別されています。
日本の交通ルールの根幹を成す道路交通法第2条第1項第2号の3において、本線車道は以下のように定義されています。
「高速自動車国道又は自動車専用道路における本線車線により構成する車道をいう」
この条文が示す通り、法律上の本線車道という概念が適用されるのは、原則として高速道路の本線車道(高速自動車国道および自動車専用道路)に限られます。一般的な市道や国道などの一般道路に敷設された車道は、単に「車道」であり、法律上の「本線車道」には該当しません。この前提を取り違えていることが、数々の誤認や違反を生む根本的な要因となっています。
一般的な「車道」が車両の通行全般に供される道路空間全体(路肩や停車帯を除く走行路)を指すのに対し、本線車道は高速走行を行うための「主たる走行路」のみに限定されます。つまり、高速道路の敷地内であっても、主たる走行路から外れた部分には本線車道の法規が及ばない、あるいは別の特別規定が適用されるという二層構造が成り立っています。