「英数字ならフォント変換アプリがたくさんあるのに、なぜひらがなは変換アプリが少ないのか?」という疑問を抱く人は多い。この背景には、国際的な文字コード規格であるUnicode(ユニコード)の構造的な仕様が存在する。
英数字の場合、アルファベットには「数学用英数字記号(Mathematical Alphanumeric Symbols)」など、筆記体(ℬ𝒶𝒷𝓎)やフラクトゥール(𝔅𝔞𝔟𝔶)、中空文字(𝔹𝕒𝕓𝕪)といった独立した装飾グリフが規格内にあらかじめ登録されている。そのため、キーボードアプリを通じた1文字ごとの1対1変換が容易に行える仕組みだ。
一方、日本語のひらがなには規格上の装飾専用文字が極めて限られている。したがって、インスタ可愛い文字ひらがなやTwitter名前可愛い文字として流通しているテキストの正体は、以下の2つの技術的アプローチによって生み出されている。
- 結合文字(Combining Characters)の活用:文字の後ろに「丸囲み記号(U+20DD)」などの特殊な制御コードを付与し、前のひらがなと物理的に重ね合わせて丸文字ひらがな変換を再現する手法。
- 特殊記号によるエンクロージャー(外枠配置):チベット文字、クメール文字、数学記号、古代記号など世界各国の特殊なグリフを枠組みとして借用し、中央に標準ひらがなを配置する手法。
外部アプリをわざわざ端末にインストールして個人情報のトラッキングを許諾しなくても、ブラウザ上で信頼できるまとめから直接コピペするだけで安全に利用できるのは、こうした文字コードの仕様に基づいているからに他ならない。