「なぜ国営公園の予算を使って再建できないのか」「民間のスポンサーをつけて復活させる道はないのか」という疑問を持つ読者も少なくありません。しかし、復活を阻む背景には、単なる予算不足にとどまらない、高度経済成長末期のインフラが直面する構造的危機が横たわっています。
第一の要因は、莫大な再整備コストと費用対効果の乖離です。1980年代前半に施工された同プールは、敷地面積が広大である分、地中に埋設された配管延長も数十キロメートルに及びます。試算では、現行の耐震・安全基準に適合した流水プールや波のプールを再整備する場合、試算額で50億円から80億円規模の国費投入が必要と目されました。わずか年間40日前後の夏季営業のためだけに、これほどの巨額投資を正当化することは、少子高齢化と財政規律が厳しく問われる現在の行政判断として極めて困難でした。
第二の要因は、気象環境の激変です。近年の猛暑日は命に関わるレベルに達しており、日陰が極端に少ないコンクリート主体の巨大屋外プールは、熱中症リスクの極めて高い環境へと変貌しました。プールサイドの遮熱化や大規模シェルターの設置など、現代の気候変動に適応させる追加コストも無視できません。
現在、敷地内では安全確保のためのプール解体工事および設備撤去に向けた準備が進められており、かつて子どもたちの歓声が響いたウォータースライダーや造波プールは、その歴史的使命を静かに終えつつあります。