彼が築いた権力の原点は、長年にわたるアメリカ亡命時代にある。ハワイやワシントンを拠点に展開した独立運動の陰で、彼は精力的なロビー活動を繰り広げていた。
国務省の担当者を夜も眠らせないほどしつこく交渉し、自らを「唯一の抗日指導者」として売り込んだ執念。当時の米政権内には彼の強硬な反共思想と扱いづらさに嫌悪感を示す高官も多かったが、彼は持ち前の英語力と人脈を駆使して自らの存在感を不可逆のものにした。ワシントンで培われたこの巧みな交渉術とアメリカへの揺るぎない不信感が、のちの国連や米政府との凄絶な駆け引きへとつながっていく。