日常会話では混同されがちな「鯱(しゃち)」と「しゃちほこ」ですが、その対象と文脈には明確な違いが存在します。
生物としての「シャチ」は、クジラ目マイルカ科に属する哺乳類です。学名を Orcinus orca と呼び、知能が高く、白と黒の鮮やかな体色を持つ海の王者です。漢字表記では「鯱」または「魚虎」が当てられます。
一方の「しゃちほこ」は、漢字で「鯱鉾」と書くのが正式です。姿形は頭部が虎、胴体と尾が魚で、背中には鋭いトゲを持ち、尾びれを常に空に向けて反り上げた姿勢をとっています。この「反り返った姿」が武器の「鉾(ほこ)」に似ていることから、「しゃち-ほこ」と呼ばれるようになりました。生物のシャチをモチーフにしつつも、完全に神格化された造形物・霊獣を指す言葉として区別されます。