では、どのような薬であれば半分に割っても良いのでしょうか。その判断の最重要基準となるのが、錠剤の中央に刻まれている一本の溝、すなわち「割線(かっせん)」の有無です。
割線なしの錠剤を割る危険性の本質は、「有効成分が錠剤全体に均一に分散している保証がまったくない」点にあります。割線が存在する錠剤は、厚生労働省の承認規格において「半錠に割った際にもそれぞれの有効成分量が規定の誤差範囲内に収まること(含量均一性)」が科学的に検証され、製薬メーカーによって保証されています。一方、割線のない錠剤は、賦形剤(錠剤の形を保つための乳糖やデンプン)と主成分の混ざり具合が均一でなくても製剤規格をクリアできるため、半分に割った片方に有効成分の70%が偏り、もう片方には30%しか残らないといった事態が平然と生じます。
ただし、現場の薬剤師が口を揃えて注意を促すのは、「割線があるからといって、無条件で自己判断で割って良いわけではない」という事実です。製造工程の都合でデザイン上スリットが入っているだけで、実際には防湿コーティングが必須である薬や、割ると極めて吸湿しやすくなる薬剤も存在します。現在服用している薬を分割できるかどうか迷った際は、添付文書の「錠剤粉砕・分割の可否」データベースを確認できる薬剤師に相談すべき錠剤の分割の基本ルールを徹底しなければなりません。