訪問看護の核心は、家庭内であっても病院病棟と同等水準の安全な医療処置を提供する点にある。医師の指示書のもとで実施される訪問看護の医療行為一覧には、高度な管理を要する項目が数多く並ぶ。
- カテーテル・チューブ類の管理:胃ろう・経鼻経管栄養チューブの挿入状態確認、尿道留置カテーテルの交換・維持、中心静脈栄養(IVH/ポート)の管理。
- 投薬・点滴治療:末梢静脈点滴、皮下注射、インスリン注射の指導・管理、麻薬を用いた持続皮下注射(疼痛コントロール)。
- 呼吸・循環管理:在宅酸素療法(HOT)の機器点検、人工呼吸器の設定・回路管理、気管切開部のガーゼ交換、痰の吸引。
- 創傷・ストーマ処置:難治性褥瘡(床ずれ)の軟膏処置やデブリードマン補助、人工肛門(ストーマ)の装具交換と周囲皮膚ケア。
- 終末期医療(ターミナルケア):バイタル測定による病状急変の予知、苦痛緩和、看取り時の医師連携と遺族支援。
ここで重要な制度設計が、訪問看護費用介護保険と医療保険の使い分けだ。「介護保険を持っている人はすべて介護保険が優先される」という原則(介護保険優先の原則)が存在する一方で、特定の医学的条件下では自動的に医療保険が適用されるルールが定められている。
具体的には、末期がん、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、パーキンソン病関連疾患などの「厚生労働大臣が定める20の難病・疾患」に罹患している場合、介護保険の要介護認定を受けていても医療保険からの訪問看護が強制適用される。また、病状が急激に悪化して医師から「特別訪問看護指示書」が交付された期間(交付日から最長14日間)も医療保険へ切り替わる。
この仕組みにより、要介護度に応じた介護保険の支給限度額枠を消費することなく、週4回以上の頻回な訪問や1日複数回の緊急訪問を受けられるセーフティネットが確保されている。