有鉤骨骨折の初期症状は極めて紛らわしく、受傷直後であっても外観上の変形や大きな皮下出血が現れにくい特徴があります。多くの選手が「打撲や軽い捻挫だろう」と錯覚し、アイシングや湿布だけで数週間プレーを続けてしまう原因がここにあります。しかし、放置すれば後述する腱の断裂など取り返しのつかない事態を招きかねません。早期発見のためのセルフチェック項目を確認することが重要です。
以下の症状に心当たりがある場合、有鉤骨鉤の損傷を疑う必要があります。
- 手のひらの小指側、手首のシワから約1.5〜2cm指先側にある骨の突起(有鉤骨鉤部)を指で強く押すと飛び上がるような圧痛がある
- バットやゴルフクラブを強く握り締めたり、雑巾を絞るように手首を内側へ捻ると激痛が走る
- 車のドアノブを回す、ペットボトルのキャップを開けるといった日常動作で手首の奥に痛みが響く
- 薬指の小指側や小指全体にピリピリとした痺れ感や鈍い感覚障害がある
医療機関を受診した際にも、最初の関門が存在します。通常の正面・側面2方向からの有鉤骨骨折のレントゲン診断では、他の手根骨と突起部分が完全に重なり合ってしまい、明らかな骨折線が写らないケースが珍しくありません。手の外科専門医の指導のもとで「手根管撮影(カーパルトンネルビュー)」や手首を特殊な角度に傾けた開排位撮影を行うか、3D-CT検査を実施しなければ確定診断に至らない例が多いため、違和感が続く場合は手の専門外来でCT検査を希望することが鉄則です。